除外すべき疾患 臨床的鑑別 ・遠位筋を侵し得る他の筋疾患(他の遠位型ミオパチーを含む。) ・神経原性疾患 病理学的鑑別 ・縁取り空胞を来す他のミオパチー 診断のカテゴリー Definite:A又はBの少なくとも一方を満たし、かつCを満たすもの。 Nat Med. Markesbery WR et al., Late onset hereditary distal myopathy. 主な筋疾患の筋病理組織像 2 遠位型ミオパチー 突筋にも筋力低下がみられる。ck値の上昇はない か,あっても軽度である。筋電図は筋原性所見が主 なものであるが,しばしば軽度の神経原性所見の混 入をみる。末梢神経伝導速度は正常である。 2.筋病理所見 A unique disorder in Iranian Jews. 筋強直は自覚的には10〜30歳に出現することが多い。顔面筋の筋力低下と筋強直のため、表情に乏しく、上眼瞼は下垂気味で頬がこけたような斧状顔貌をみる。筋力低下は四肢遠位からのこ … 15(6):690-695. J Clin Invest. 進行性の筋力低下および筋萎縮:下肢後面特に腓腹筋が侵される c. 歩行可能な時期に血清ck値が異常高値 (1,000iu/l以上)を示す ... ・遠位筋を侵し得る他の筋疾患(他の遠位型ミオパチーを含む) ・神経原性疾患 病理学的鑑別 ・縁取り空胞を来す他のミオパチー Gowers WR. 筋力低下 (90%) 近位筋力低下 肩虚弱および萎縮 四肢虚弱および萎縮 骨盤支持筋力低下および萎縮 遠位筋萎縮 生検でミオパチー所見 縁取りのある空胞 封入体ミオパチー 歩行異常 階段の登りが困難 筋電図は原発性筋疾患を示す (2007), 東北大学公式サイト>「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーを対象としたN-アセチルノイラミン酸の第Ⅱ/Ⅲ相試験(医師主導治験)を開始」, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=遠位型ミオパチー&oldid=83060674. Neurol. (1984), Nishinio I, et al., 近位筋および遠位筋の筋力低下を生じる疾患も多いが(例,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー,ギラン-バレー症候群,重症筋無力症,神経根障害,イートン-ランバート症候群),初期には一方のパターンがより優勢となることがある。 Neurology 24:127–34. 遠位型ミオパチー(えんいがた - 、distal myopathy)とは胸・腰など『駆幹』や上腕・大腿部など『躯幹』から離れた部位から筋肉が萎縮していく病気である。ミオパチー(myopathy)とは本来、単に筋肉の病気(筋疾患)のことを意味するが、遺伝性筋疾患は伝統的に、筋ジストロフィーとミオパチーに二分されている。筋疾患には、体幹に近い部位から侵されるもの(近位型、proximal)と体幹から離れた部位から侵されていくもの(遠位型、distal)が存在すると報告されている。デュシェンヌ型筋ジスト … 遠位型ミオパチー(えんいがた - 、distal myopathy)とは胸・腰など『駆幹』や上腕・大腿部など『躯幹』から離れた部位から筋肉が萎縮していく病気である。ミオパチー(myopathy)とは本来、単に筋肉の病気(筋疾患)のことを意味するが、遺伝性筋疾患は伝統的に、筋ジストロフィーとミオパチーに二分されている。筋疾患には、体幹に近い部位から侵されるもの(近位型、proximal)と体幹から離れた部位から侵されていくもの(遠位型、distal)が存在すると報告されている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど体幹から近い所の筋肉が萎縮する疾患を近位型、手足の先の方から筋肉が萎縮する疾患を遠位型として報告されているが、遠位型で報告されている3つの病気の病状には違いがあり必ずしも遠位型とは言えない。近年、遠位型ミオパチーは病名と言うよりは病気の進行をあらわしたものと見られている。, 遠位型ミオパチーという疾患は1902年に最初の記述[1]がある。もちろん、当時は遠位型ミオパチーという病気の概念はなく、筋力の低下を伴ったある患者の症例報告にすぎない。この患者は手足の末端(distal)の方に顕著な筋力の低下が見られ、当時としては非常に珍しい症状であったため、Gowers WRという医師が論文に記載したものである。その後、1951年になってWelander Lという医師がスウェーデンにおいて優性遺伝をする遠位型ミオパチー(後にWelander型と命名される)の家系が存在することを報告。また、1974年にフィンランドのMarkesbery WRらによる遠位型ミオパチーの症例(後にUdd/Markesbery/Griggs型)が報告された[2]。日本では、1984年に水澤英洋らにより遠位型ミオパチーが報告された。1967年に日本の故三好和夫徳島大学名誉教授らにより常染色体劣性遠位型筋ジストロフィーが報告された[3]。これは、世界で初めて三好型を報告した時の病名であるが、その後、臨床研究が促進され三好型筋ジストロフィーと報告され、海外では三好型ミオパチーなどと呼ばれている。1977年にはSatoyoshi Eらにより眼咽頭型遠位型ミオパチー[4]、1981年には日本の埜中征哉らにより縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーが報告[5]された。, 筋疾患の多くは遺伝子疾患(遺伝子の異常により発症する病気)であり、優性遺伝または劣性遺伝する。近年の分子生物学およびゲノム科学の発展により、多くの筋疾患の原因遺伝子が特定されている。日本における代表的な遠位型ミオパチーについても原因遺伝子は同定されており、縁取り空胞型は9番染色体上のGNE(UDP-N-acetylglucosamine 2-epimerase/N-acetylmannosamine kinase: シアル酸の合成を触媒する酵素の1つで753アミノ酸からなる)という遺伝子[6]。三好型筋ジストロフィーは常染色体劣性遺伝で、1998年に原因遺伝子が2番染色体にあると報告され、それをdysferlin(筋細胞膜損傷を修復する機構に関与)と命名した。GNEの場合、変異はほとんどがミスセンス変異であり、アミノ酸の配列が1カ所で異なっている。眼咽頭型遠位型ミオパチーについては優性遺伝することがわかっているが、原因遺伝子は未だ解明されていない。, 遠位型ミオパチーは近年の分子生物学、バイオインフォマティクスの発展により多くのことが明らかになりつつあり、世界中でいくつかの型が存在することがわかっているが、日本においては以下の3つのタイプが代表的である。, 縁取り空胞型、三好型常染色体劣性遺伝することがわかっている。劣性遺伝するということは、発病していないが保因者として異常な遺伝子を持っている人々が存在するということでもある。患者に対して保因者はどのくらい存在しているのかということに関して、縁取り空胞型の遠位型ミオパチーを例にとると、正確な患者数は不明であるが患者は日本に100人程度存在すると考えられている。単純に日本の人口を1億人として計算すると100万人に1人の割合である。この病気の保因者はいったいどのくらいの割合で存在することになるかは、単純に計算すると500人に1人である。そして、保因者同士がパートナーとなる確率は1/500 x 1/500 = 1/250000であり、保因者の両親から病気の子供が生まれる確率は1/4。したがって100万人に1人の病気ということになる。つまり、日本に保因者は20万人程度存在することになる。保因者は発病しないため、自分が保因者である自覚がないのが普通である。したがって、今後も毎年数名程度の患者が発生し続けることになる。, 遠位型ミオパチーは20歳代から30歳ぐらいに発症する場合が多い。筋力の低下が徐々に始まり、歩行中につまずいて転倒するようになったり、手足に力が入らなくなったり、非常に疲れやすくなったりというのが主な症状である。遠位型ミオパチーは型により侵されやすい筋肉が異なるので、CTやMRIによってもある程度病名を予測することは可能であるが、病名を特定するには筋生検や遺伝子診断が欠かせない。縁取り空胞型と三好型は原因遺伝子が特定されているため、遺伝子診断の結果が最も信頼性が高いといえる。, 健康な人であっても筋肉を全く動かさなければ筋肉は徐々に萎縮していってしまう。筋肉を動かすには、筋肉とそれを動かすための神経がきちんと機能しなければならない。どちらに異常があっても、結果として筋肉を動かすことができず、筋肉は萎縮していく運命にある。また、健康な人は筋肉に負荷を与えると、その負荷に耐えるべく筋肉を強くすることができる。これは、強い負荷がかかると筋肉は一部壊れてしまうのだが、筋肉は速やかに再生され、より強い負荷に耐えられるようになる。これの繰り返しにより筋肉が発達し、筋力がアップするのである。ところが、筋疾患の患者の場合、再生能力が極めて低下していたり、再生能力があっても非常に壊れやすいため、筋肉に負荷を与えるとかえって筋力の低下を促進してしまうのである。, 遺伝子疾患の根本的治療は極めて困難である。しかし、縁取り空胞型の遠位型ミオパチーの場合には、シアル酸欠乏がミオパチーの原因であることが明らかとなってきており、シアル酸補充療法の臨床応用を目指した動きが具体化している。, 筋肉自体に異常がある患者にとって、リハビリテーションで効果をあげるのはなかなか困難である。やりすぎれば返って病状を進行させてしまうし、効果があったかどうかの評価も難しい。遠位型ミオパチーは患者数が少ないこともあり、どのようなリハビリテーションが有効であるかも手探り状態である。また、患者にとってはちょっとしたリハビリテーションでも筋肉にかなりの負担がかかってしまうため、加減が非常に難しいと考えられる。進行性の筋疾患を専門とする理学療法士の育成が望まれる。. Am. 筋疾患・神経筋接合部疾患の分類 原因: 検査・徴候: 筋 自 体 の 異 常: 進行性筋ジストロフィー (PMD) 遺伝etc. 7:3. 117(6):1585-94. 遠位型頸椎症性筋萎縮症 園生雅弘 要旨 肩腕部の痛みを伴い,左手指の麻痺を突然発症した65 歳男性例。下垂指を呈し, 臨床的に後骨間神経>尺骨神経支配筋に筋力低下を認め,針筋電図ではこれらに加えて長 母指屈筋,t1 傍脊柱筋にも脱神経を認めた。 34: 89-92. icu*awとは、重症患者が筋力低下を来した場合、その原疾患である重症疾 患以外に筋力低下を来す誘因がない場合に定義されるとしている. 1)重症疾患罹患後の全身の筋力低下) 2)びまん性の筋力低下(近位、遠位筋)対称性、弛緩性、脳神経は障害 されない) Jpn. Distal myopathy with rimmed vacuoles is allelic to hereditary inclusion body myopathy. (2002), Noguchi S, et al., Reduction of UDP-N-acetylglucosamine 2-epimerase/N-acetylmannosamine kinase activity and sialylation in distal myopathy with rimmed vacuoles. 筋力低下 低負荷・少量頻回での筋力訓練、adl指導 頸部下垂 上肢近位筋低下 体幹前屈 下肢遠位筋低下 頸部装具(hmc等) 廃用予防 上肢補助(psb等) 下肢装具(slb等) 体幹装具 標準 車椅子 チルト・リクラ 経過(病状の進行) 図3 医療依存度に応じたリハビリテーション (2007), Sparks S, et al., Intravenous immune globulin in hereditary inclusion body myopathy: a pilot study. た.下肢優位,遠位筋優位の四肢筋力低下を認め,mmtは 上肢3~5,下肢1~2で左右差はなかった.四肢腱反射は消 失していた.両手関節,両膝関節以遠に異常感覚を認めた. 振動覚は四肢で低下していた.自律神経障害は認めなかった. Arch. Genet. シャルコー・マリー・トゥース遺伝性ニューロパチーは,慢性の運動・感覚多発ニューロパチーを特徴とする疾患群を指す.患者は典型的には,四肢遠位筋の筋力低下および萎縮を呈し,軽度から中等度の感覚喪失,腱反射の減弱,凹足を伴うことが多い. 64:1563-1569. 遠位筋が好んで侵される遺伝性筋疾患の総称。 世界的には少なくとも9つの異なる疾患が含まれるとさ れているが、これまでのところ、本邦では「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー」(常染色体劣性)、 … Hum Mol Genet. 外来診察時であれば,まず診察室への入室時の歩様をみただけで腰帯部筋力低下に気づくことが ある. 動揺性歩行 Waddling gait は筋疾患でみられる代表的歩行異常である. 腰帯筋筋力低下により一 498-22808 1.筋疾患の診断 3 図 1 翼状肩甲 図 2 仮性肥大 成人期に発症する事が多い。徐々に手足の筋肉が弱くなり、筋萎縮が進む。一部の疾患では、呼吸筋が強く冒されて、筋力低下よりも呼吸不全が目立つことがある。 炎症性ミオパチー: 筋肉に炎症を来す疾患であり、「筋炎」と呼ばれることもある。 16(22):2669-2682. 279:11402-11427. ミオパチー(ミオパシー、Myopathy)とは、「Myo-(筋肉)」と「-pathy(病、苦痛)」からなる単語であり、一般的には筋肉の疾患の総称を指し、非常に多くの病気を含んでいる。 筋疾患の症状の大半は、筋肉(骨格筋)が萎縮することによっておこる筋力の低下である。 J. Hum. 11.筋疾患(ミオパチー) 廣谷 真 佐々木秀直 要旨 ミオパチーは非常に多くの疾患を含んだ筋疾患の総称である.炎症性筋疾患では多発筋炎と皮膚筋炎が 大半を占めるが,封入体筋炎との鑑別も重要である.多くが日常生活に支障を来すため,日常生活動作を 神経疾患・筋疾患の種類はきわめて広範である.ここでは特定疾患治療研究事業(56 疾患)に含まれる神経疾患と,難治性疾患克服研究事業(130 疾患)の対象となっている神経疾患とこれに含まれない疾患の中から日常診療で比較的頻度高く遭遇する疾患について記載した. 12: 113. 要約 . Please confirm that you are a health care professional, ここから先は第三者のウェブサイトになります。当社は、第三者のウェブサイトのコンテンツに関与しておらず、掲載内容について一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。, , MD, College of Medicine, University of Saskatchewan, 筋力低下はプライマリケア医の受診理由として最も頻度が高いものの1つである。筋力低下または脱力とは,筋力が低下した状態のことであるが,多くの患者は,たとえ筋力が正常であっても,全身的な疲労感や機能制限(例,疼痛や関節運動制限によるもの)を感じた際にもこの用語を使用することがある。, 筋力低下は少数の筋のみに生じる場合もあれば,多数の筋に生じる場合もあり,発症は突然のこともあれば,緩徐なこともある。原因によっては,他の症状が併存することもある。特定の筋群の筋力低下は,眼球運動障害,構音障害,嚥下困難,または呼吸筋の筋力低下につながる可能性がある。, 随意運動は前頭葉後方部にある大脳の運動皮質において始まる。関与するニューロン(上位運動ニューロンまたは皮質脊髄路のニューロン)は,脊髄のニューロン(下位運動ニューロン)とシナプス結合している。下位運動ニューロンから信号が神経筋接合部に送られると,筋収縮が惹起される。, 上位運動ニューロンの機能が障害されると,下位運動ニューロンが脱抑制される結果,筋緊張(痙性)が高まり,筋伸張反射が亢進する(反射亢進)。伸展性足底反応(バビンスキー反射)は皮質脊髄路の機能障害に特異的である。しかしながら,上位運動ニューロンの機能障害が筋緊張および反射の減弱につながることもあり,運動神経麻痺が突然で重度の場合(例,脊髄離断では,始めは筋緊張が減弱し,その後数日から数週間かけて亢進する)や,または病変が運動連合野ではなく中心前回の運動皮質を損傷した場合に,そのような現象がみられる。, 下位運動ニューロンの機能障害では,反射弓が機能しなくなることによって,反射が低下して筋緊張が減弱(筋弛緩)し,また線維束性収縮を生じることがあり,時間が経つと筋萎縮を生じる。, 末梢性の多発神経障害は,最も長い神経で最も目立つ傾向があり(すなわち,筋力低下は近位より遠位で,腕より脚でより顕著となる),下位運動ニューロン障害の徴候(例,反射および筋緊張の低下)を生じる。, 最も頻度が高い神経筋接合部疾患である重症筋無力症では,典型的には筋力低下に変動がみられ,活動に伴い悪化し,安静にすると軽減する。, びまん性の筋機能障害(例,ミオパチー)は,最も大きな筋群(近位筋)で最も目立つ傾向がある。, 筋力低下の原因の多くは,病変の局在によって分類される( 筋力低下の原因)。通常,特定の1つの部位に生じた病変は,それぞれ類似した臨床所見を呈する。しかしながら,複数の部位に病変が出現することを特徴とする疾患もある。例えば,筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者では,上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方に機能障害の所見がみられる。脊髄の疾患では,上位運動ニューロン,下位運動ニューロン(前角細胞),またはその両方からの経路が侵される。, 神経障害,外傷または絞扼(例,手根管症候群)によって生じるもの,免疫性のもの(例,ベル麻痺)を含む, 一時的な局所の筋力低下 が,発作後(トッド)麻痺の一症状として(通常は数時間で解消する),または低血糖に起因して発生することがあり,低血糖とそれによる筋力低下は治療により消失する。, 疾患またはフレイルを原因とする活動低下によるデコンディショニング(廃用性萎縮),特に高齢者で多い, Critical illness polyneuropathy(ICUニューロパチー), 一般的なミオパチー(例,アルコール性ミオパチー,低カリウム血症,ステロイドミオパチー), 筋力低下(握力)よりも筋硬直と巧緻運動制御の喪失(手指の器用さ)の方が強いことがある, 感染症(例,HTLV-1,HIV,梅毒,ヒトヘルペスウイルス6型,EBV,水痘帯状疱疹), しばしば勃起障害,便失禁および尿失禁,括約筋反射の消失(例,肛門括約筋反射,球海綿体反射), 進行性の四肢筋力低下および易疲労性,巧緻運動障害,痙性(下肢に始まり,脊髄圧迫が徐々に進行するにつれて腕に及ぶ), 原因の同定に役立つ検査:ビタミンB12値,HIV検査,ANA,RPR,自己抗体NMO-IgG(抗アクアポリン4抗体),HTLV-1またはVDRL,遺伝子検査,血清銅,セルロプラスミンなどが考えられる, 髄液検査(例,タンパク,VDRL,IgG指数,オリゴクローナルバンド,ウイルス価,PCR), 遺伝性の運動ニューロン疾患(例,脊髄性筋萎縮症または脊髄小脳萎縮症,Kennedy病を含む), その他の検査:鉛神経障害を除外するための24時間尿中重金属スクリーニング,抗GM1抗体価(多巣性運動ニューロパチーに対して),遺伝子検査(例,Kennedy病に対して)などがありうる, 末梢性の多発神経障害では,多くの遠位筋の不釣り合いな筋力低下および同部位に分布する(手袋靴下型)感覚障害(例外として頻度が高いのはCIDPであり,この疾患では近位と遠位の神経および筋が同等に侵される), 原因の同定に役立つ検査:血糖値,経口ブドウ糖負荷試験2時間値,ヘモグロビンA1c(HbA1c),RPR,HIV検査,葉酸,ビタミンB12,血清タンパクの免疫固定電気泳動,胸部CTおよび血清ACE値(サルコイドーシスに対して),24時間尿中重金属スクリーニング,抗MAG抗体(一部の脱髄性神経障害でみられる),抗GM1抗体価(多巣性運動ニューロパチー),遺伝子検査などが考えられる, しばしば,著明な球症状の所見(例,重症筋無力症,ボツリヌス症,または有機リン中毒), 具体的な疾患の診断に必要なその他の検査(例,抗ganglionicアセチルコリン受容体抗体,重症筋無力症の疑い例に対するエドロホニウム試験), 機序を確定するための検査:電気診断検査および筋酵素(例,CK,アルドラーゼ),ときにMRIを用いて筋萎縮,筋肥大,または仮性肥大を確認する。, 原因の同定に役立つ検査:筋生検および特殊染色,特定の遺伝性疾患に対する遺伝子検査などが考えられる, *検査には変更を加えてよく,臨床的に疑われる疾患に応じて追加検査が適応となる場合もある。, †多発性単神経障害(多発性単神経炎)が広域に及べば,多発神経障害に臨床的に類似した異常を引き起こしうる。, ANA = 抗核抗体;抗GM1= 抗モノシアル酸ガングリオシド;抗MAG = 抗ミエリン関連糖タンパク;CIDP = 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー;EBV = エプスタイン-バーウイルス;HTLV = ヒトTリンパ球向性ウイルス;NMO-IgG = 視神経脊髄炎の自己抗体;RPR = 迅速血漿レアギン試験;VDRL = Venereal Disease Research Laboratory。, 多くの患者は,実際の症状が疲労である状況で筋力低下を訴える。また疲労があると,筋力検査の際に最大努力ができず,本来の筋力を出すことができない。, 疲労の一般的な原因としては,ほぼ全ての原因による重度の急性疾患のほか,悪性腫瘍,慢性感染症(例,HIV,肝炎,心内膜炎,単核球症),内分泌疾患,腎不全,肝不全,心不全,貧血などがある。, 線維筋痛症,うつ病,または慢性疲労症候群の患者は,筋力低下または疲労を訴えるものの,はっきりした客観的異常が見つからないことがある。, 評価では真の筋力低下と疲労との鑑別を試みるべきであり,次に機序(例,筋力低下の原因が脳,脊髄,神経叢,末梢神経,神経筋接合部,または筋のどれなのか)と(可能であれば)原因の確定に役立つ所見がないか確認する。, 現病歴の聴取では,自由回答式の質問を用いて,患者がどのような経験をもって筋力低下としているのかを詳細に説明させる。続いて具体的な質問を用いて,特に特定の課題(歯磨きまたは髪梳き,会話,嚥下,椅子から立ち上がる,階段を昇る,歩行など)を遂行できるかどうかを尋ねる。, 症状の発症(突然か緩徐か)および進行(例,不変,悪化,間欠的)についても尋ねるべきである。突然の発症と患者が突然症状を認識した場合と鑑別するには,閉じた質問をする必要がある;進行の遅い筋力低下がある閾値を超え,何らかの日常生活動作(例,歩行,靴紐結び)の妨げとなって初めて患者が突然症状を認識することがある。, 重要な合併症状として,感覚障害,複視,記憶障害,言語障害,痙攣,頭痛などがある。筋力低下を悪化させる因子,例えば熱(多発性硬化症を示唆)または筋の反復使用(重症筋無力症を示唆)などに注意する。, 系統的症状把握(review of systems)では,以下のような原因を示唆する症状がないか検討すべきである:, 既往歴の聴取では,筋力低下または疲労を生じうる疾患,例えば甲状腺,肝,腎,または副腎疾患;悪性腫瘍または高度喫煙など悪性腫瘍の危険因子(腫瘍随伴症候群—例,イートン-ランバート症候群);変形性関節症(頸髄症);感染症などを同定すべきである。, 可能性のある原因の危険因子,例えば感染症の危険因子(例,無防備な性交渉,輸血,結核への曝露)および脳卒中の危険因子(例,高血圧,心房細動,動脈硬化)などについて評価すべきである。, 家族歴には,既知の遺伝性疾患(例,遺伝性筋疾患,イオンチャネル病,代謝性ミオパチー,遺伝性ニューロパチー)および家族に同様の症状をもつ者がいるかどうかの確認(未確認の遺伝性疾患の可能性を示唆する)を含めるべきである。遺伝性運動性ニューロパチーは,表現型が多様で不完全であるため,しばしば家族内で見過ごされやすい。槌趾を認め,足のアーチが高く,かつスポーツが不得意であることは,未診断の遺伝性運動性ニューロパチーを示唆している可能性がある。, 違法薬物使用:HIV/AIDS,細菌感染症,結核,またはコカインによる脳卒中のリスク上昇を示唆する, 局在および診断の決め手となる所見を同定するため,神経および筋の完全な診察を行う。通常,鍵となる所見は以下の3つに関するものである:, 脳神経の診察では,視診により顔面に大きな非対称性と眼瞼下垂がないか確認する;顔面の軽度の非対称性は正常のことがある。外眼筋運動と咬筋(の筋力)を含む顔面筋を検査する。口蓋の筋力低下は,鼻にかかった声質により示唆される;咽頭反射の確認や口蓋の直接観察はあまり有用でない。舌の筋力低下は,特定の子音(例,「たたた」と言う)をはっきり発音できないことと,不明瞭な発話(言語構音障害)により示唆される。舌を突き出させた際に軽度の非対称性がみられる所見は正常のことがある。胸鎖乳突筋および僧帽筋の筋力は,患者に抵抗に逆らって頸部を回旋させる,また肩をすくめさせることによって検査する。患者に瞬きを繰り返させ,疲労によって瞬きが減弱しないか確認する。, 運動機能の評価では,視診,筋緊張の評価,筋力検査などを行う。全身を視診して,脊柱後側弯症(ときに傍脊柱筋の慢性的な筋力低下を示唆する)および手術または外傷の瘢痕がないか確認する。ジストニア肢位(例,斜頸)があると,運動が妨げられることで,筋力低下があるように見えることがある。筋を視診して,線維束性収縮および萎縮がないか確認する;ALSではどちらも局所的または左右非対称性に始まることがある。進行したALS患者では,線維束性収縮が舌で最も良好に観察される場合もある。びまん性筋萎縮は,手,顔面,および肩甲帯で最も明らかとなることがある。, 筋緊張は他動運動を用いて評価する。筋(例,小指球)を軽く叩くと,神経障害では線維束性収縮が,筋強直性ジストロフィーではミオトニアがみられることがある。, 筋力検査は,近位筋,遠位筋,伸筋,および屈筋について行うべきである。一部の大きな近位筋の検査では,座位から立ち上がる,スクワット後に蹲踞位から立ち上がる,抵抗に逆らって頸部を屈曲,伸展,回転させるなどの方法を用いる。筋力は0~5の段階で評価することが多い:, これらの数字は客観的なように思えるが,筋力3~5(通常は何らかの診断が付けられる初期の筋力低下における典型的なレベルである)は,むしろ主観的な評価結果である;症状が片側性であれば,健側と比較することで鑑別が容易になる。単純に筋力低下のレベルに数値を付けるよりも,患者ができる行為とできない行為を具体的に記載することの方がしばしばより有用であり,特に経時的な筋力低下を評価する際に役立つ。認知障害があると,運動維持困難(ある運動課題を遂行するのに注意を集中できない),運動保続,失行,または努力不十分などが起こりうる。詐病およびその他の機能性の筋力低下は,正常な筋努力から突然脱力が起こるgive-way weaknessを特徴とする場合が多い。, 協調運動検査には,指鼻試験,膝踵試験,継ぎ足歩行などがあり,これらにより小脳卒中,小脳虫部萎縮(例,アルコール乱用による),一部の遺伝性脊髄小脳失調症,多発性硬化症,およびフィッシャー症候群(ギラン-バレー症候群の亜型)に伴いうる小脳機能障害を確認する。, 歩行開始障害(ignition failure)(歩行開始時に一時的にその場で硬直した後,加速歩行がみられる):パーキンソン病, 歩行失行(足が床に貼り付いたような歩行のとき):正常圧水頭症またはその他の前頭葉疾患, 四肢の左右非対称(片脚の引きずり,腕の振りの減弱,またはその両方があるとき):半球脳卒中, つま先歩きと踵歩きを行わせる;遠位筋の筋力低下があると,これらの動作が困難となる。筋力低下の原因が皮質脊髄路の病変である場合には,踵歩きが特に困難となる。痙性歩行の特徴は,はさみ歩行(股関節と膝関節をわずかに屈曲させ,うずくまるような姿勢で,膝と大腿を打ちつけあるいははさみのように交叉させながら歩く)とつま先歩きで顕著にみられる。腓骨神経麻痺では,鶏歩および下垂足を来しうる。, 感覚の検査を行う;感覚障害の情報は,筋力低下を引き起こす一部の病変の局在診断に役立つことがあり(例,感覚レベルに応じて病変がどの髄節にあるかを同定できる),また筋力低下の具体的な原因を示唆することもある(例,遠位の感覚消失はギラン-バレー症候群の臨床的疑いを確定するのに役立つ)。, 帯状に分布するチクチク感や圧迫感は,脊髄由来の徴候であり,内因性病変と外因性病変のどちらにも伴いうる。, 反射の検査を行う。深部腱反射がみられない場合は,Jendrassik増強法(例,両手を組んだ状態で左右に引っ張らせる)によって反射を引き出せることがある。反射低下は正常のこともあるが(特に加齢に伴うもの),所見は左右対称であるはずであり,また最初は反射がみられなくても増強法を行えば反射が引き出されるはずである。足底反射(伸展,屈曲)の検査を行う。以下の反応は特定の疾患または病変の局在を示唆する:, 古典的なバビンスキー反射(母趾が伸展し,他の足趾が扇状に開く)は,皮質脊髄路の病変に対する特異度が非常に高い。, 下顎反射が正常で腕および脚の反射が亢進している場合は,皮質脊髄路を侵す頸部病変(通常は頸椎狭窄)が示唆される。, 脊髄損傷では肛門の筋緊張,肛門括約筋反射,またはその両方が減弱または消失するが,ギラン-バレー症候群による上行性麻痺ではこれらが保たれる。, 背部を打診して圧痛の有無を確認する(脊椎の炎症,一部の脊椎腫瘍,および硬膜外膿瘍でみられる), 客観的な筋力低下がみれない患者では,一般診察が特に重要であり,そのような患者では神経筋疾患以外の疾患を検索すべきである。, 呼吸窮迫の徴候(例,頻呼吸,吸気の減弱)に注意する。皮膚を診察して,黄疸,蒼白,発疹,および線条がないか確認する。その他に重要な視診上の所見としては,クッシング症候群の満月様顔貌や,慢性飲酒でみられる耳下腺腫脹,平滑で無毛の皮膚,腹水,くも状血管腫などがある。, 頸部,腋下,および鼠径部を触診して,リンパ節腫脹がないか確認すべきであり,甲状腺腫大にも注意する。, 心臓および肺を聴診して,断続性ラ音,笛音,呼気の延長,心雑音,および奔馬調律がないか確認する。, 腹部を触診して,腫瘤(脊髄機能障害の可能性がある場合は大きな膀胱腫大を含む)がないか確認すべきである。, ダニ麻痺症が疑われる場合は,皮膚,特に頭皮を徹底的に視診して,ダニがいないか確認すべきである。, 病歴は筋力低下を疲労と鑑別するのに役立つほか,疾患の時間経過を明らかにし,筋力低下の解剖学的パターンの手がかりとなる。筋力低下と疲労は様々な症状の原因になる傾向がある:, 筋力低下:典型的には,患者は特定の作業が行えなくなったと訴える。四肢が重いまたは硬いと訴えることもある。通常,筋力低下は時間的,解剖学的,またはその両方で特定のパターンをとる。, 疲労:筋力低下として報告される疲労は,特定の時間的パターンや解剖学的パターンを示さない傾向があり(例,「常に疲れた感じがする」,「どの部分も力が出ない」),その訴えは特定の作業が行えないことよりも,疲労感に焦点がある。, 数分またはより短時間で重症化する筋力低下は,通常は重度外傷または脳卒中によるものであり,脳卒中で生じる筋力低下は通常片側性で,中等度または重度のことがある。1肢に限局した突然の筋力低下,しびれ,および重度の疼痛は,局所の動脈閉塞と虚血が原因である可能性がより高く,血管の評価(例,脈拍,色調,温度,毛細血管再充満時間,ドプラ法で測定した四肢の血圧差)を行うことで鑑別できる。脊髄圧迫も数分間のうちに麻痺を生じうる(ただし通常は数時間から数日かかる)が,失禁と特定の感覚および運動レベルに限定される臨床所見から容易に鑑別できる。, 数時間から数日かけて一定の速さで進行する筋力低下は,急性または亜急性疾患(例,脊髄圧迫,横断性脊髄炎,脊髄虚血または出血,ギラン-バレー症候群,ときに重症疾患による筋萎縮,横紋筋融解症,ボツリヌス症,有機リン中毒)が原因である可能性がある。, 週単位の時間をかけて進行する筋力低下は,亜急性または慢性疾患(例,頸髄症,遺伝性および後天性の多発神経障害の大半,重症筋無力症,運動ニューロン疾患,後天性ミオパチー,大半の腫瘍)が原因である可能性がある。, 1日のうちで変動する筋力低下は,重症筋無力症,イートン-ランバート症候群,または周期性四肢麻痺が原因である可能性がある。, 筋力低下の解剖学的パターンは,遂行が困難になった具体的な運動課題によって特徴付けられる。解剖学的パターンは特定の診断を示唆する:, 近位筋の筋力低下があると,体を上に伸ばす(例,髪を結ぶ,物を頭の上に持ち上げる),階段を昇る,または座位から立ち上がる動作が困難になるが,これはミオパチーに典型的なパターンである。, 遠位筋の筋力低下があると,縁石をまたぐ,カップを持つ,字を描く,ボタンをはめる,鍵を使うなどの動作が行えなくなるが,これは多発神経障害および筋強直性ジストロフィーに典型的なパターンである。近位筋および遠位筋の筋力低下を生じる疾患も多いが(例,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー,ギラン-バレー症候群,重症筋無力症,神経根障害,イートン-ランバート症候群),初期には一方のパターンがより優勢となることがある。, 球麻痺では,顔面の筋力低下,構音障害,および嚥下困難が生じることがあり,眼球運動障害は伴うこともあれば伴わないこともある;これらの臨床像は特定の神経筋疾患,例えば重症筋無力症,イートン-ランバート症候群,またはボツリヌス症などに典型的であるが,ALS または進行性核上性麻痺など特定の運動ニューロン疾患でもみられる。, 筋力低下に加えて反射亢進と筋緊張亢進がみられる場合,特に伸展性足底反応(バビンスキー反射)を認める場合は,上位運動ニューロン(皮質脊髄路またはその他の運動路)の機能障害が示唆される。, 握力が比較的保たれているにもかかわらず,指の巧緻運動(例,小さい物をピンセットでつまむ,ピアノを弾く)が不釣り合いに障害されている場合は,皮質脊髄路(錐体路)の選択的障害が示唆される。, 突然生じた重度の脊髄損傷(脊髄ショック)では,完全な麻痺に加えて反射の消失と重度の筋緊張低下(筋弛緩)がみられる。, 筋力低下に加えて反射低下,筋緊張の減弱(線維束性収縮の有無は問わない),および慢性筋萎縮がみられる場合は,下位運動ニューロンの機能障害が示唆される。, 最も長い神経に支配される筋に最も顕著な筋力低下(例,近位より遠位で,腕より脚で顕著)がみられる場合,特に遠位の感覚低下も伴う場合は,末梢性の多発神経障害による下位運動ニューロンの機能障害が示唆される。, 神経学的異常がない場合(例,反射は正常で,筋萎縮および線維束性収縮がなく,筋力検査では筋力正常または努力が不十分),ならびに疲労感を訴える患者または特定の時間的,解剖学的パターンがない筋力低下の患者で筋努力が不十分な場合には,真の筋力低下よりも疲労の可能性が示唆される。しかしながら,筋力低下が間欠的で診察時にみられない場合には,異常が見過ごされる可能性がある。, 追加所見により,病変の局在をより正確に同定できることがある。例えば,上位運動ニューロン徴候を伴う筋力低下に加えて,失語,精神状態の異常,その他の皮質機能障害がなどの徴候がみられる場合は,脳病変が示唆される。片側性の上位運動ニューロン徴候(痙性,反射亢進,伸展性足底反応)に加えて,同側の腕および脚に筋力低下がみられる場合は,対側大脳半球の病変が示唆され,なかでも脳卒中の頻度が最も高い。上位または下位運動ニューロン徴候(またはその両方)に加えて,ある髄節以下の感覚消失および直腸または膀胱の制御不能がみられる場合は,脊髄病変が示唆される。下位運動ニューロン徴候を伴う筋力低下は,単一または複数の末梢神経を侵す疾患により生じることがあり,そのような疾患では,非常に特異的な筋力低下のパターンがみられる(例,橈骨神経障害における下垂手)。腕神経叢または腰仙骨神経叢が障害されると,運動,感覚,および反射障害がしばしば斑状に分布し,1つの末梢神経の分布域には一致しない。, ときに複数の所見の組合せから原因が示唆される( 筋力低下に関連する所見で特定の疾患を示唆するもの)。, 急速に進行する全身性の筋力低下;著明な眼筋麻痺,構音障害,および嚥下困難,特に胃腸炎が先行する場合, 時間的・空間的に多発する病変を示唆する症候,再発および寛解の病歴,視神経炎による片眼性の視力障害,核間性眼筋麻痺による複視, 急性または慢性の筋力低下,構音障害,嚥下困難,反射低下,コリン過剰症の症候(例,流涎,流涙,排尿,縮瞳,腹部痙攣,下痢,徐脈), 慢性の進行性四肢不全麻痺,上位運動ニューロン徴候,脳神経は侵されず,下顎反射は正常, 真の筋力低下の症候が認められない(例,特徴的な解剖学的および時間的パターンや客観的徴候がない)患者で,愁訴が全身性の筋力低下,疲労,または活力の低下のみの場合は,神経疾患以外を考慮すべきである。しかしながら,歩きにくさを感じている高齢患者では,歩行機能障害に複数の因子が関与している場合が多いため,筋力低下がどの程度寄与しているかを判定するのは困難なことがある( 筋力低下 : 老年医学的重要事項)。, 多くの疾患の患者は,機能的な制限があっても,真の筋力低下は生じていない可能性がある。例えば,心肺機能障害や貧血は,呼吸困難または運動耐容能の低下による疲労を引き起こしうる。関節の機能不全(例,関節炎によるもの)または筋痛(例,リウマチ性多発筋痛症または線維筋痛症によるもの)によって身体的な作業が困難になることもある。これらをはじめとする筋力低下の訴えの原因となる身体疾患(例,インフルエンザ,伝染性単核球症,腎不全)は,典型的にはすでに診断されているか,病歴聴取,身体診察,またはその両方で認められる所見から示唆される。, 一般に,病歴聴取と身体診察で身体疾患を示唆する異常を検出できなければ,これらの疾患の可能性は低く,時間的または解剖学的パターンが生理的でない持続的な全身性疲労を引き起こす疾患(例,うつ病,慢性疲労症候群)を考慮すべきである。, 筋力低下ではなく疲労がみられる患者では,検査は不要な場合もある。真の筋力低下がある場合は,多くの検査を行うことができるが,そのような検査も補助的なものにしかならない場合が多い。, 真の筋力低下がない場合は,他に臨床所見(例,呼吸困難,蒼白,黄疸,心雑音)があれば,それに応じて検査を行う。, 異常な臨床所見がみられない場合,検査結果が異常となる可能性は低い。そのような状況で行うべき検査は,症例によって大きく変わってくる。初回検査を行う場合は,通常は血算,電解質(カルシウムおよびマグネシウムを含む),血糖値,腎および肝機能検査,甲状腺刺激ホルモン(TSH),赤沈,C型肝炎の血清学的検査などから必要なものを行う。, 突然または重度の全身性の筋力低下あるいは何らかの呼吸器症状がある場合は,努力肺活量と最大吸気圧を検査して,急性呼吸不全のリスクを評価する必要がある。肺活量 < 15mL/kgまたは吸気圧 < 20cmH2Oの患者は高リスクである。, 真の筋力低下がある場合は,初回検査(通常は急性呼吸不全のリスク評価後に行う)は典型的には筋力低下の機序の判定に焦点を置く。原因が明らかな場合を除き,通常はルーチンの臨床検査として,血算,電解質(カルシウムおよびマグネシウムを含む),血糖値,腎および肝機能検査,TSH,赤沈,C型肝炎の血清学的検査を行う。, 筋力低下の原因として脳の上位運動ニューロンの機能障害が疑われる場合は,MRIが重要な検査となる。MRIが行えない場合(例,心臓ペースメーカーのある患者)はCTを用いる。, 脊髄症が疑われる場合は,MRIにより脊髄の病変を同定できることがある。脊髄症に類似した麻痺を引き起こすその他の原因,例えば馬尾,神経根,腕神経叢,および腰仙骨神経叢の病変を同定することもできる。MRIが利用できない場合は,CT脊髄造影を施行してもよい。その他の検査を行う( 筋力低下の原因)。髄液検査は,画像検査で診断される一部の疾患(例,硬膜外腫瘍)では不要のことがあり,髄液流の閉塞(例,硬膜外脊髄圧迫によるもの)が疑われる場合は禁忌である。, 多発神経障害,ミオパチー,または神経筋接合部疾患が疑われる場合,これらの筋力低下の機序を鑑別する上で電気診断検査 (筋電図および神経伝導検査)が重要となる。, 神経損傷後には,神経伝導速度の変化や筋の除神経が生じるまでに数週間かかることがあるため,疾患が急性の場合には,電気診断検査は有用とならないことがある。しかしながら,これらの検査は一部の急性疾患,例えば急性脱髄性神経障害(例,ギラン-バレー症候群),急性ボツリヌス症,その他の急性神経筋接合部疾患などの鑑別に役立つことがある。, ミオパチーが疑われる(筋力低下,筋痙攣,および疼痛から示唆される)場合は,筋酵素(例,CK,アルドラーゼ,LDH)を測定してもよい。ミオパチーでは一貫して高値となるが,神経障害でも高値となることがあり(筋萎縮を反映する),虚血性横紋筋融解症では極めて高値となる。また,全てのミオパチーで高値となるわけではない。クラックコカインの習慣的使用は,慢性的なCK値の中等度上昇(平均値は400IU/L)を引き起こしうる。, MRIを施行すれば,炎症性ミオパチーでみられるような筋の炎症を同定できる。ミオパチーまたは筋炎の診断には,最終的に筋生検が必要になることがある。MRIまたは筋電図検査は,筋生検に適した部位の同定に役立つことがある。しかしながら,針の刺入によるアーチファクトが筋の病態と類似することがあるため,これを避けなければならず,したがって,筋生検は決して筋電図検査を行った同じ筋で行ってはならない。, 運動ニューロン疾患(例,ALS)が疑われる場合は,筋電図および神経伝導検査を行うことにより,診断を確定するとともに,運動ニューロン疾患に類似する治療可能な疾患(例,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー,伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパチー)を除外する。ALSが進行している場合は,脳MRIで皮質脊髄路の変性を認めることがある。脊髄MRI(またはCT脊髄造影)をルーチンに行い,脊髄圧迫またはその他の脊髄症を除外する( 筋力低下の原因)。, 所見から重症筋無力症が示唆される場合は,エドロホニウム試験および血清学的検査(例,抗ganglionicアセチルコリン受容体抗体値,ときに抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体), ミオパチーが薬剤,代謝性疾患,内分泌疾患のいずれでも説明できない場合は,筋生検も可, 原因を治療する。生命を脅かす急性の筋力低下がみられる患者には,換気補助が必要になることがある。, 理学療法および作業療法は,患者が永続的な筋力低下に適応し,機能喪失を最小限に抑えるのに役立つ可能性がある。, 加齢に伴うある程度の深部腱反射の低下は正常であるが,非対称である場合と増強法を用いても反射がみられない場合は異常である。, 高齢者では元々サルコペニアが存在する場合が多いため,床上安静によって筋萎縮が急速に(ときに数日間で)進行する可能性がある。, 高齢者は多くの薬剤を服用している一方,薬剤性のミオパチー,神経障害,および疲労が生じやすいため,高齢者においては薬剤が筋力低下の一般的な原因となっている。, 筋力に関連した歩行困難には,複数の原因が関与している場合が多い。危険因子としては以下のものがある:, 加齢に伴う姿勢保持神経機構(前庭機能,固有感覚の経路)の障害,協調運動障害(小脳,基底核),視覚障害,失行(前頭葉), 疲労を訴える患者で,筋力低下に解剖学的および時間的パターンがみられず,かつ身体所見が正常である場合は,慢性疲労症候群,未診断の全身疾患(例,重症貧血,甲状腺機能低下症,アジソン病),心理的問題(例,うつ病),または薬物有害作用などを疑う。, 真の筋力低下がみられる場合は,まず筋力低下の原因が脳,脊髄,神経叢,末梢神経,神経筋接合部,または筋のいずれにあるかを判定することに焦点を置く。, 反射亢進と筋緊張亢進(痙性)がみられ,特にバビンスキー反射が陽性である場合は,脳または脊髄における上位運動ニューロン(例,皮質脊髄路)の病変を疑う;評価には通常MRIが必要である。, 反射低下,筋緊張減弱,筋萎縮,および線維束性収縮がみられる場合は,下位運動ニューロンの病変を疑う。, 反射低下と遠位筋優位の筋力低下がみられ,特に感覚障害または錯感覚がみられる場合は,多発神経障害を疑う。, 階段を昇る,髪をとかす,および立ち上がる動作が困難で,かつ近位筋優位の筋力低下がみられるが,感覚は正常である場合は,ミオパチーを疑う。, Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.Aは、米国とカナダ以外の国と地域ではMSDとして知られる、すこやかな世界の実現を目指して努力を続ける、グローバルヘルスケアリーダーです。病気の新たな治療法や予防法の開発から、助けの必要な人々の支援まで、世界中の人々の健康や福祉の向上に取り組んでいます。 このマニュアルは社会へのサービスとして1899年に創刊されました。 古くからのこの重要な資産は米国、カナダではMerck Manual、その他の国と地域ではMSD Manualとして引き継がれています。私たちのコミットメントの詳細は、Global Medical Knowledgeをご覧ください。, 必ずお読みください:本マニュアルの執筆者、レビュアー、編集者は、記載されている治療法、薬剤、診療に関する考察が正確であること、また公開時に一般的とされる基準に準拠していることを入念に確認する作業を実施しています。しかしながら、その後の研究や臨床経験の蓄積による日々の情報変化、専門家の間の一定の見解の相違、個々の臨床における状況の違い、または膨大な文章の作成時における人為的ミスの可能性等により、他の情報源による医学情報と本マニュアルの情報が異なることがあります。本マニュアルの情報は専門家としての助言を意図したものではなく、医師、薬剤師、その他の医療従事者への相談に代わるものではありません。ご利用の皆様は、本マニュアルの情報を理由に専門家の医学的な助言を軽視したり、助言の入手を遅らせたりすることがないようご注意ください。本マニュアルの内容は米国の医療行為や情報を反映しています。米国以外の国では、臨床ガイドライン、診療基準、専門家の意見が異なる場合もありますので、ご利用の際にはご自身の国の医療情報源も併せて参照されるようお願い致します。また、英語で提供されているすべての情報が、すべての言語で提供されているとは限りませんので、ご注意ください。, このサイトは、 信頼できる医療・ 健康情報のための 倫理標準である HONcodeの条件を満たし ています: こちらから確認してください。, The trusted provider of medical information since 1899, © 2021 Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA.
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